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今日も二人で連れ立って学食に入ると、学食に居た生徒達が一斉に視線を向けてきた。
人に見られるのが大嫌いな静流だが、貴文が堂々としているので普段より人目が気にならない。
二人で窓際の席に座ると、化粧の濃い女子学生が寄って来た。
「二大王子様が一緒なんて丁度良かった。今日の夜、合コンがあるんだけど二人とも参加してもらえないかな?」
「島田さん、僕達今日は無理だなぁ。ごめんね」
貴文が断ると、島田と呼ばれた女子学生は暫く粘っていたが最後には諦めて席から離れて行った。
「……ちゃんと断れたな」
「うん。あんなにお願いしてたのに申し訳なかったけど……。もう、付き合いで合コンとか行くの止めようと思ってさ」
「それでいいんじゃないか?君、酔ったら酷いし」
「その節はご迷惑おかけしました……」
二人で顔を見合わせて笑う。
周りは南北の王子が何に笑っているのか気になって堪らない様子だったが、静流にはそんなことはどうでも良かった。
貴文が笑っていて自分も楽しい。
すごくシンプルに考えることができて、いつも人の目に怯えていたのが嘘のようだ。
「静流は今日も掃除のバイトかい?」
「ああ。ほとんど毎日入れてるんだ」
「そうか……。余計なお世話だけど、兄さんには気を付けてね。」
雅文に気を付けろって……?
静流は意味が分からなくて小首を傾げた。
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