りゅうせいぐんと猫

1/6
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ

りゅうせいぐんと猫

ごろごろごろ...。 今日も一匹の猫は、いとしの飼い主に撫でられて喉を鳴らしていた。 今夜はりゅうせいぐん、というものらしいと外の猫の噂話で聞いた。自分は外の猫のように自由に歩き回れないが、いつも換気のために少しだけ開けられている窓から色んな話を聞くことができる。やはり猫なのだから、自由に生きたいという気持ちはあるが、大好きな飼い主を置いて外の世界に行くことなど考えられない。外の話はこうやって聞けるのだから。これ以上の幸せなんてないのだ。 「お豆、今日は雨が降るみたい、せっかく流星群なのに見られないかも。 」 にゃおん、と返事を返す。飼い主の悲しそうな顔は見たくない。こういう時は、少しでもそばにいるほうが良いのだ。今までの経験からそう知っている。ちりちりん。鈴を鳴らしながらさらに飼い主へと近づいた。 「ありがとうね。大丈夫だよ。お豆は優しいね。 」 飼い主に頭を撫でられて喉を鳴らす。こういう風な毎日が愛おしい。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!