父さんは宇宙人

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*  家に帰るとコスモさんはまだいた。 「ただいま」 「おかえり、トモ君。今日も宿題一緒にしようか」 ぼくはランドセルから自転車検定のプリントを取り出した。 「母さん居る?」 「ユミさん? 居るよ」 コスモさんは母さんをユミさんと呼んでいた。 「母さん、これ」ぼくはプリントを見せた。 「ぼくの誕生日に自転車検定があるんだ。だから、自転車を補助輪なしで乗れないと笑われちゃう。自転車の練習を一緒にして」 母さんはプリントを受け取って、コスモさんを見た。 「コスモさんに教えてもらいなさい」 「え? コスモさんに?」 ぼくは、うそでしょ、と続けそうになった。宇宙人の仮装をしたあやしい人と一緒に練習は出来ない。 「よし、父さんと一緒に公園に行こう」 「いや、でも、……そのかぶり物は脱ぐよね?」 「何言ってるの? コスモさんはこれが顔だって言ってるでしょ?」 母さんの言う事は絶対だ。 腕を組み、眉を寄せてぼくを見ている。 「よし、行こう。大丈夫だ、心配しなくてもすぐに乗れるようになるさ」  自転車の練習の前に大きな心配があるのだけど、この2人に言っても通用しなさそうだった。  残念なお知らせは、残念な方向にどんどん進んでいく。  仕方なく自転車を持って、近くの公園に向かった。
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