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一晩経っても、コスモさんは居た。
コスモさんはずっと全身銀色のタイツを身につけており、夏前の六月の今は暑そうだった。
ぼくと母さんとコスモさんは同じ部屋に布団を敷いて寝たのだけれど、ぼくより後に寝て、先に起きたコスモさんはしっかりと宇宙人の仮装をしていた。
学校に行く時、コスモさんは玄関に置いてある自転車を見た。
「トモ君、この自転車は乗ってるのかい?」
「うん、時々」
「補助輪がついてるけど、運動は苦手?」
嫌なことを聞かれた、とぼくは背負っていたランドセルを握りしめた。
「……うん、運動はちょっと苦手かな」
じゃあ、行ってきます、と言って学校に向かった。
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