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紹介された時点から文句のつけ所が見つからなかったが、この一言で、先輩は苦笑するしかなくなってしまったという。
「可愛い娘を奪っていくかもしれん男だ。
本当はケチの一つもつけたかったんだがな」
休憩時間に先輩は笑いながら、でも少し寂しそうに話していたそうだ。
「女の人が、自分の父親に似た人を選ぶって話はよく聞くけど、うちはどうなのかなって」
なるほどなと、私は実家の父親を思い浮かべる。
父親は絵に書いたような亭主関白だ。
父親の言うことは絶対。
良くも悪くも取り繕わない、
言いたいことはズバズバ言う父は嫌いではない。
しかし、思春期を迎えた頃から、
父のデリカシーの無さに苛立ちを覚え、
遅めの反抗期をいまだに引きずっている。
ここまでの自己分析はできているので、
あくまで冷静に、客観的な返答を心掛けてみた。
「似てないところが多いけど、
根本的には似てるのかなと思ってる」
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