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ショウとヒガン
「おーい、リュウ!おはようさん!!」
やれやれ、朝から元気な事だ。
街の広場の方から歩いてくるのはショウとヒガンという、俺の友人だ。
ショウとヒガンは兄弟で、ショウが兄で俺と同い年、ヒガンは俺より7つ下だ。
俺は12だから、まだ5歳だ。
ショウは人を操り、思い通りにさせるのが得意だ。弟思いでたまに冷酷だ。しかし、信用する人間に対しては優しい。
それを見て育っているヒガンも、騙すのが得意で、詐欺師にでもなれるんじゃと思う。普段は純粋でいい子な幼児だ。(まあ、騙すのは悪い人に対してだけだが)
(こいつホントに5歳なのか)
こいつらは訳あって二人だけで暮らしているらしい。
俺も詳しくはわからない。
こいつらは数年前にこの街へきたが、その前のことを2人は語ろうとしなかった。
探る気もないが。
「リュウち!やほ!」
ヒガンは俺の事をリュウちと呼ぶ。
幼児で言葉が未発達なのはあたりまえの事なので、別に俺は気にしていない。
ショウは街の学校に行っている。
街とはいえとても小さい。
俺は、ショウが学校へ行っている間のヒガンの面倒を見ている。
まだ5歳の子供を家に1人置いていくのは心配だそうな。
ショウは自分が信じている極小数の人間しか信用しないが、その反面ヒガンを何よりも大切にしているなどそこそこなりの良い奴である。
「そろそろ行かんと遅刻するぞ」
俺はショウにそう言うとショウは慌てた様子で首の懐中時計を確認した。
「やばい、遅刻や!!、、、ほいならヒガン、兄さん行ってくるな。リュウの言うことよう聞くんよ?」
「はーい!!」
そんな微笑ましい会話を見ながら俺は学校へ向かうショウに手を振り、ヒガンの手を引いて家へ向かった。
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