0人が本棚に入れています
本棚に追加
流星の子
四年後、ステラは宇宙船へ帰ってきたプレアデスを見つけ、「おかえり」と声をかけた。
プレアデスはステラを見た途端、固まっていたが、「た、ただいま」と、ぎこちなく返した。
「どうだった?」
「君の言う通り、有意義な四年間を過ごすことができたよ。テルスも、テルスのおじいさんも、色んなことを教えてくれた。森のこと、動物のこと、人間のこと……僕ら、初めて会った時よりもずっと仲良くなったんだ。別れるのが惜しかったよ」
「それは良かった」
ステラはプレアデスの頬へ手を伸ばし、触れた。
プレアデスの体を覆っていたホログラムの像がぶれ、ステラが待ち焦がれていた少年の姿が一瞬見えた。
「こんなに早く会えるとは思わなかったよ、テルス」
「……僕もさ、ステラ」
プレアデスのホログラムをまとっているテルスは涙を浮かべ、親友との再会を喜んだ。
「よく僕だって分かったね」
「すぐに分かったよ。プレアデスはもっと他人行儀な話し方をするから」
「そうだったっけ? 今じゃ、僕と変わらないよ。じいちゃんに"お前はもうウチの子なんだから、楽に話しなさい"って言われてから、話し方を変えたんだ。あいつ、じいちゃんにベッタリでさ、僕がこうして入れ替われたのも、プレアデスが"じいちゃんと離れたくないから"って僕に頼んできたからなんだ。僕も安心してじいちゃんを任せられる人ができて良かったよ」
その時、廊下の先から数人の少年達が歩いてきた。ステラの同期だ。
ステラは彼らを見つけると、テルスの手を引き、彼らのもとへ走った。
「君を紹介しなくちゃ。彼らにもプレアデスのデータを改竄する手伝いをしてもらうんだ」
「ほ、本当に信用できる連中なんだろうね?」
「もちろん。アルタイルもデネブもベガもアンタレスも、君と"同郷"だからね」
テルスはその言葉が何を意味しているのか気づき、複雑そうに笑みを浮かべた。
「あの時プレアデスが言ってた四人、結局地球に残ったのか」
「みんな良い人だよ。テルスもすぐに仲良くなるさ」
「それは楽しみだな」
テルスは新たな友人達との出会いに、胸が高鳴った。
窓の外では、地球が青く煌々と輝いていた。
最初のコメントを投稿しよう!