アルバン・ヘルツに花束を

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 これまた『壊れた傘は歌わない』から脱線してしまいました。その中でスター下さった方、ありがとうございます。  アルバン・ヘルツ警部はこの作品の為に初めて作り出したキャラクターだったので捜査過程でどうやってヘルツ警部の温厚で人当たりの良さを出そうと悩みました。其処で考えたのが妻のレオノーラです。ヘルツ警部に話したら大丈夫だという安心感は即ち故だと考え、それなら奥さんの話も真摯に聞いてくれるだろうと思い、作り上げました。妻と仲が良い設定はヘルツ警部のモデル、フレンチ警部でもそうなので気が引けましたが、それはそれで。事実『壊れた傘は歌わない』はレオノーラの言葉で事件解決にぐうん、と近づきました。  レオノーラはベートーヴェンの唯一の歌劇(オペラ)『フィデリオ』から拝借しました。無実の罪で投獄された夫を助けにその妻レオノーレが男装し、『フィデリオ』と名乗ってその刑務所に入り込んで夫を助ける話で彼女の貞淑さを表すのにぴったりだと思ったからです。レオノーラは結婚する前は学校の先生で、そこで殺人事件が発生した際に事件の捜査に赴いたヘルツ警部と出逢って恋に落ちる……という設定があります。その設定を活かして妄コン『取り合い』『あなたを選んだ理由』を書こうと思いましたが、結局良い話が思いつかず前者は参加辞退、後者は前田賢二ものの2作目『見よ、世界は今日も変わり続ける』になりました。全然関係無い。  あとは当時の傘の材料になった鯨の骨で遊んでいた子どもたち。ここで登場した子どもたちは貧しいが、路上生活者では無い設定で書きました。ここで鯨の骨を出したのは海の無いウィーンでは海の動物は大変珍しく、もらったからには自慢したがると思ったからです。だからヘルツ警部の目に入ったわけですが。  うーん……こんなところかなぁ……何しろ2年近くも前のことなので全然覚えておらず……書き上げた時も反響が一番無かったのでまさかこれが妄コンで佳作になるとは思いもしませんでした。だからメールを貰った時は熱い紅茶を噴き出しましたね(私は夏でも熱い紅茶を飲むのです)。推理小説家になるのが夢だったから自分はその夢を掴み取る可能性がまだ有るんだと本当に嬉しかったです。今は推理小説のみならず、人間一人一人の人生や生活や矜持や感情を見つめて、人間の在り方や心を書いていきたいと思います。  妄コンを受賞したから、という理由を通り越して私は今、このアルバン・ヘルツ警部という主人公が好きです。彼にはもっと色々な事件を解決してもらいたいし、彼を通して19世紀ウィーンをもっと知ってもらいたい。部下のヒューゲルももっと活躍してもらいたい。その為には名前を出す為に里帰りさせないとな……ヒューゲルは若いのでもっと先の時代まで目撃してもらいたいので。  ヘルツ警部シリーズは近日中に妄コン『星降る夜に』の為の4作目をアップしようと考えています。初めて殺人以外の事件が勃発します。  皆様、『アルバン・ヘルツに花束』を読んでくださり、ありがとうございます。これからもアルバン・ヘルツ警部らをよろしくお願いします。  
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