終末を念う

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終末を念う

 大きな温室の周りに広がっている、すずらん畑の中を歩き続ける。温室の周りを巡るように、延々と。  あの温室の中には難病の患者が沢山いて、それぞれに治療を受けている。そのほとんどが年端もいかない子供達だ。  私は、医療AIとして、今までに数多くの難病の薬を模索して作りだしてきた。けれどもそれもいたちごっこなのだ。  いま計算中の薬のデータ画面を中に映し出しそれを眺め、考える。私に任されているデータの処理を終えるまでには膨大な時間が掛かる。それを私は知っている。  ふと思う。病がなくなるのと世界が終わるのと、どちらが先なのだろう。  私は暗い空に流れる流星に目をやる。  全ての終わりを願っても良いだろうか、この星降る夜に。
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