この星の降る夜

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 この星は、かつて戦場だった。  現在も近隣惑星達が、惑星間弾道ミサイルで、採掘と言う名の攻撃を仕掛けてくる。  ミサイルは決まって夜の地域に向けて放たれ、暗い宇宙(そら)から光の針と成って飛来した。   光の針は大気圏を突き破り、空気を切り裂きながらこの星に突き刺さる。爆音と共に飛び散る土壌。舞い上がる土埃で大気は赤く煙のだ。  かつては緑に覆われ、近隣惑星達ヘの食料供給を主な産業としていた。今、豊かな姿は見る影もなくゴツゴツと荒れた岩と土を表面に曝す。  今から29年前、近隣の惑星達が一斉に攻撃を仕掛けて来た。理由は、食料を確保する為に危険な枠星間飛行をするよりも、自分達の星で作った方が安上がりでリスクが少ないから。そんな随分と身勝手な思惑によるものだった。  ミサイルの降り注ぐ反対側、視界の良い昼の地域では、作業員が集積機械で掘り起こされた用土を掻き集めて行く。集められた用土は輸送用の惑星間飛行コンテナに積み込まれ、近隣惑星に運ばれ分配される。作業地域の用土を積み終われば、集積機械を移動し、新たに掘り起こされた用土を拾い集めた。それを繰り返し、この星の肥沃な大地は削られ、近隣の惑星に奪われて行くのだ。
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