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「中小企業に強いから何回かお世話になってる先生で、凄く話しやすいし、仕事も早いから」
「わかりました」
「これ榎伸工業さんの資料。代替りと一緒にさ、ここ宮村の担当にしていいかな」
桃井課長の言葉に僕はびっくりした。榎伸工業といえば中小企業ながらもキャッシュフローが潤沢な優良企業。僕がアシスタントで、主任が担当しているのに。
いまここを担当している後藤主任が、海外事務所に異動かもしれないと噂されてるからだろうか。それでも僕には荷が重いような気がしていた。
「こんな大きい企業を僕が?」
「宮村なら大丈夫だよ。後藤からも聞いてるけど、専務の息子さんともしっかり信頼関係出来てるんだろ。お前が適任だよ」
「あ、ありがとうございます!」
これって、次の辞令で僕は主任になるって事かな?
もしそうなら、最短での昇進になるから僕は内心めちゃくちゃうれしかった。梓先輩に失恋してからの僕は、ひたすら仕事に打ち込んでいた。それを認めてもらった気がしてうれしかった。
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