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【新宮恋会】
宮恋会が解散してから半年、俺が定期的に開いていた「宮村を慰める会」も今日で終わりにしようと思っていた。いい加減、鬱陶しい。
「なぁ、だからそれ以上は飲むのやめとけって、宮村」
「んですかぁー梶先輩! 僕! 酔ってませんから!」
俺は、宮村が飲んでる焼酎にこっそり水を足しておいた。今日、よりによって上松の旦那に遭遇してしまったらしい。
「『宮村亮輔は何故振られたのか』」
宮村が言うので、優しい先輩の俺はいつものように答えてやった。
「『坊やだからさ』」
「うわーん! 梓先輩ー!」
「なぁ、もう半年だからさ、そろそろ新しい女に目を向けたら? よりどりみどりだろ?」
「そうっすね……」
お、宮村の反応が変わった。頑なに梓、梓と言ってたのに。
「旦那、どんな奴だった?」
たいして興味もなかったが、焼酎の梅を箸でつつきながら聞いた。
上松は結婚式を身内だけでやったし、二次会を主催してた斎木から見せてもらった写真には上松しか写ってなかった。俺は上松の結婚相手を見たことがない。
「第一印象『かっけー』でした」
「へー」
焼酎の入っていたコップから、梅を取り出して箸で割って食べる。酸っぱいけど旨い。
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