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先生が私の家に初めてのお泊まり_2
初めて伺うお寿司屋さんで、私は美しい欅のカウンターに感動していた。
「うわあ、綺麗なカウンターですね」
こんなに清潔に保つなんてきっと素敵な店主さんに違いない。勝手に想像してわくわくしていた。
そして、予想を遥かに超えた美味しいお寿司に、自然と頬が緩んでいた。
「鱸も、鯛の昆布締めも美味しいです……涙出そう……」
この一貫が高いんだよね……と内心思いながら、私がゆっくり食べてるのを、桐木先生が笑いながら見ている。ちょっと恥ずかしい。でも、茶碗蒸しも何もかも美味しくて、楽しくて幸せだった。
私と桐木先生は日本酒を頼んだけれど、隣席の男性二人組は、いわゆる高級シャンパーニュのボトルを置いていた。私はお寿司屋さんでシャンパンを飲んでいる人を初めて見た。本当に存在するんだ……と妙に感心していた。
「きっと、このお店のお寿司に合うからオンリストされたんでしょうね」
お店を出た後で、私がそう言うと、桐木先生が口の端だけあげて笑う。
「俺もまだ飲んだことがない。気になるなら、また行ってみようか?」
「はい! 是非!」
また一緒に、と約束してくれるのが嬉しくて、酔いに任せて私から桐木先生の手を取った。手を繋いで日比谷駅まで歩く。
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