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「孝介、お風呂上がったからどうぞ」
「はいよー」
ソファでくつろいでいた孝介は、やる気のない返事をしながら立ち上がる。
振り返った彼と私は目が合う。
「あれ、麗花」
「なに?」
素っ頓狂な声を出す彼に私は訊く。
彼は化粧を落とした、すっぴんの私をじっと見ている。
「うーん」
孝介は首を傾げながら色んな方向から私を見る。
「……なんかさ」
彼の目がいつもと違う輝きを見せた。
「最近、キレイになった?」
そう言って孝介は笑った。
「…………っ!」
嬉しかった。
今なら、空も飛べそうなくらい。
だってそれは私が一番欲しかった言葉だったから。
――でも。
その気持ちを顔に出すのはぐっと抑えて。
私は何もない風に笑って、言ってやったのだ。
「そう? これが私よ」
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