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「あれ、麗花さん髪色変えました? 雰囲気明るくなりましたね!」
「100点だよ、100点のコメントだよ里紗ちゃん……! それが欲しかったの、ありがとう~!」
私は職場の後輩である波木里紗ちゃんに抱き着く。
「そんなに感動することですか? そこまで変われば誰でもわかりますよ」
「……わからない人もこの世にはいるのよ」
「あ、同棲中の彼氏さんですか? 前もそんなこと言ってましたよね」
「そうなの。髪色こんなに変えたのに全然気付かなくて」
「言わないだけじゃなく?」
「昨日確認した。絶対気付いてない」
「そうですか……。こうなったらパンチパーマにでもするしか」
「いやそれ職を失うまであるわよ」
「大丈夫ですよ、うちデザイナーなら何でもOKな風潮ですし」
私たちは広告やパンフレットのグラフィックデザイナーをしている。
営業さんたちはスーツ着用がルールだが、デザイナーにはそういったルールはないのでカジュアルな服装をしている人が多い。
ちなみに里紗ちゃんの今日のファッションはライトブルーのブラウスに、淡いグレーのプリーツスカートを合わせている。シンプルなのにお洒落だ。
「でも逆にパンチパーマで来られたら、わたしはそれには触れられないですねえ」
「里紗ちゃんに引かれたら数年立ち直れなさそう」
「あらら、そんなに好かれて嬉しいです。わたしと浮気しちゃいますか?」
「くぅ、なんて小悪魔な誘惑……! 浮気ランチしちゃおうかな」
「あ、じゃあ前言ってたとこ行きましょ!」
そう言ってふわりと笑う里紗ちゃんは、いつまでも見てられそうにかわいかった。
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