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「ん~おいし~~!」
「麗花さんって、ほんとおいしそうに食べますよね」
「そりゃあもう、食事は人生最大の娯楽だからね」
私たちは会社のビルの地下にある、イタリアンカフェでランチをしていた。
以前から行きたいと思っていたがいつも満席で入れなかったのだが、今日は運良く1席だけ空いていた。
サーモンとほうれん草のクリームパスタをフォークに巻きつけながら、私は横目でメニューの裏表紙を見る。
「あ、デザートもあるって! パフェおいしそう!」
「そんなに食べてよく太りませんよね。羨ましいです。でもおでこ、ニキビできてますけど」
「うっ!」
あまりのショックに私はフォークを取り落とした。落ちたフォークが皿にぶつかり音を立てる。
里紗ちゃんは私の急変に驚いて、口に運びかけたアンチョビピザを皿に戻した。
「え、どうしたんですか。毒でも入ってたんですか」
「いやちょっとトラウマが……。やっぱりニキビ目立つ?」
「まあ、結構しっかりできちゃってますしね。麗花さん肌白いから余計に目立つというか」
「あーやっぱりそうなんだ。……彼氏にも言われちゃったんだよね」
「例のなんにも気付かない彼氏さんにですか」
「ええ、ニキビのことだけ気付く彼氏よ」
「たまにいますよね、減点方式タイプ」
そう言って里紗ちゃんは一度置いたピザを持ち直して口に運ぶ。
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