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「里紗ちゃん……!」
「ちょっと何泣きそうになってるんですか。その涙は101点になってからにしてください」
「うっ……ぐうの音も出ない」
私は眉間に皺を寄せながらパスタを食べた。
「やっぱりまずはニキビを治さなきゃかな。でも食事制限はつらい……。里紗ちゃんはいつも肌綺麗よね。何かしてるの?」
「してますよーそりゃあ。この美貌を保つために努力努力の毎日です」
「そこまで言ってもらえると清々しいわ。具体的には?」
「まあ毎日のスキンケアは当然として」
うっ……。
悪意のなさそうな彼女の言葉が最近おろそかになっている自分の心に刺さる。
昔は頑張ってたけど、色々面倒くさくなっちゃってサボっちゃうんだよなあ。
「あと最近はこれ使ってて調子いいんですよ」
彼女はピザを持っていない方の手でスマホを私に向ける。
そこには爽やかな薄水色の空と、その下に立つ真っ白な化粧品の写真があった。
「あ、これこの前来てた案件のとこの?」
「そうですそうです。この商品の広告デザインするにあたって試供品もらったんで使ってみたんですけど、すごく調子よくて」
「へえ、そうなんだ。私も使ってみようかな」
「試供品まだ少しあるんで会社帰ったら渡しますよ」
「わ、ありがとう」
私はそれからスキンケアのやり方や頻度を里紗ちゃんから伝授してもらい、会計をして店を出た。
パフェはやめておいた。
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