2人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
シークエンス 1
ちょっと変わった子供がいた。
丘の上、5才ぐらいの男の子が、夕暮れの空を見上げている。
手に持っているのは懐中電灯だろうか?
だとすれば、それは小さな体に、少し大き過ぎる懐中電灯だった。
足元で風に揺れる草と、オレンジ色の雲の間に立つその子は、微動だにせず、全身で空を受け止めている。
執筆に行き詰まり、丘陵公園まで散歩にやって来た私は、この男の子が気になって動けなくなっていた。
“いったい何をしているのだろうか…しかし、何にせよこれは、ネタになりそうだな…”
そう思った私は、近くのベンチに腰を下ろし、缶コーヒーを片手に見守る事にしたのだった。
最初のコメントを投稿しよう!