小さい朝の話

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小さい朝の話

 冷えてゆく夜に  小鼠たちのことを考えました。  親鼠のぬくもりで  寒い夜もさみしくない小鼠たち。  たとえおなかがすいていても  明日は梨が食べられるかもしれない。  そんな希望をちっちゃく  とろとろと眠ります。  朝起きたら顔を洗って  しっぽを踏んだどうしたと笑いあう。  きょうだいは親鼠の引率で  人目こっそり梨園へ。  朝露で輝く梨の  それは綺麗なこと!  ヒトが夢中になる宝石と云うもののことが  露のつたう梨の様からちょっとわかりました。  競ってひとつずつもぎ  一家はおうちへ帰ります。  青い梨は火をとおしてとろりスープ  赤いのは切ってそのままさァどうぞ。  ふーふーズズズ  しゃくシャキシャキ。  お父さんお母さんきょうだいで  なんて美味しくぬくい食卓。  いただきましたら今日は  みんなでお掃除。  おうちを綺麗にしたら  みんなの笑顔も綺麗です。  めざめた朝は冷えていて  綺麗な床がけれどぬくいものでした。
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