お天気部の奮闘

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雨をやませるとはいっても、魔法のように一瞬にして天気を変えられるわけではない。地道な努力と、個々の長所を生かしたアプローチを重ねていくわけだ。 知力と行動力のある者は、すぐさまライバル社の代表取締役、雷神を訪れ、晴れを求めて交渉を行った。時に雷神の機嫌を損ねてしまい、地上にカミナリが落ちることもあったが、それでも常に共通の合言葉を頭の隅に置いて、持ち前の笑顔で粘り強く挑んだ。 力自慢の者は、しばらくの間停滞し続けている前線を押しのける作業に入った。声を掛け合い、力を合わせて踏ん張る。働いていない期間が長かったために体力が落ち、そう簡単には前線は動かないが、必死で取り組むほかに選択の余地はない。 知力も体力も持ち合わせていなくても、優しく純粋な心の者は、目を閉じて祈りを捧げた。外を駆け回りたい子供たちの切なる願いや、空を見上げた大人たちの舌打ちをすべてエネルギーに変えて、お天道様に向かって「照る、照る」と手を合わせるのである。 かくして、二週間が経った。 遂に、地上にお天道様が現れた。 雨粒が無限の光の粒へと変化する瞬間を見届けた神様は「うむ。」と満足げに頷いて、早速梅雨明けを宣言すべく地上に赴く支度を始めた。
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