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「あっ!流れ星」
息子と歩く私の前に、閃光が夜空に煌めいた。
「知ってるかい?星が流れるなか、三回願い事を繰り返すと叶うと言い伝えらてるんだ」
私が優しく見つめるなか、息子は無邪気に夜空を眺めた。
「じゃ、次に見つけたら唱えてみるよ」
「何をお願いするんだい?」
「……明日もこうして無事でいられるように」
私は悲し気に、息子の手を優しく握った。
町は、また空襲で真っ赤に燃え盛っている、いくつもの屍と残骸の山に囲まれながら……
そして、また閃光が爆炎の煙の登る夜空に光った。
いくつも流れる星のなか、息子は、何度も願い事を繰り返している。
悲鳴をあげた流れ星に……
おわり
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