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 優花が生まれる少し前、年が明けてすぐの頃にお袋がうちにやって来た。妻の亜由の実家は北海道で、第一子妊娠中と言えどなかなかお義母さんが頼れない状況だ。だから、俺のお袋がちょくちょくこうやって顔を出して、亜由のフォローをしてくれてる。  その日もいつものようにうちに来て、間近に迫っている帝王切開の為の入院準備の世話を焼いてくれてた。  それがひと段落つき、俺がお茶をいれて2人に出す。冬だけど、麦茶だ。妊娠中はカフェインとっちゃいけないらしいから。 「そうそう、貴昭」  亜由ととりとめもない世間話をしていたお袋が、急に俺に声をかける。何気なくテレビを眺めてた俺は、お袋の顔を見る。 「なに」 「お父さん、再婚したわよ」 「へ? あの歳でかよ」  親父は54だ。お袋とは俺が2歳の時に離婚してる。今となっては2人は親友って感じだから、夫婦には向いてなかったんだろうなと思ってる。 「何よ。私だっていい男見つかったら再婚したいと思ってるんだけど?」  しまったしまった、虎の尾を踏んじまった。お袋は親父の2歳下だからな。 「へいへい。で、親父のお相手は。ファンの若い子でも誑かした?」 「ちょっと、タカくん言い方ー」
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