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「ちょっと和馬には勿体ないくらいのいい子ね。一緒に呑んでても楽しいのよ」  お袋はにこにこして、彼のことを語る。何でそんなに自然に受け入れられてるんだ。  今時、別にゲイが珍しいわけではない。公的制度はまだないけれど、事実婚の形で結婚を選択するカップルも増えていて、国も本腰を入れようかという情勢。ってことは、俺でも知ってる。  俺の友人にもゲイはいる。俺は別にゲイフォビアじゃない。彼らの話を聞いていれば、ごく普通の恋愛なんだってことくらいわかる。  でも、自分の父親が結婚相手…しかも、50歳を越えての伴侶に男を選ぶなんて、想像もしていなかった。 「ほんと、和馬は真面目なクセに雑なところあるから、ああいうしっかりした子がいてくれると老後も安心よね」  それはその通りなんだけど。でもその事実は、スルッと飲み込むには大きすぎる。 「何されてる方なんですか?」  亜由はそんなことは気にしていない様子で、お袋にそんなことを聞く。 「衣装メーカーで縫製やってるんだって」 「じゃあ、お裁縫教えて欲しいな。私、そういうの苦手だから」 「言ってみたら? 喜んで教えてくれると思うわよ」
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