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「わぁ、言ってみよ! 子どもの物、手作りしてみたいんですよね」  お袋と亜由は楽しそうにそんな話をしているけど、俺はまだ躓いたままだ。  誰を選択しようと自由だし、これからを共に過ごせる相手が見つかったことは喜ばしい、って頭では理解してる。  だけど、気持ちがついて行かない。否定したり拒否しちゃいけない、って気持ちと、でも何も男じゃなくたって、って気持ちがせめぎ合う。 「貴昭、お祝いついでに会ってきなさいよ」  こともなげにお袋は言う。 「ああ……」  どんな顔して会ったらいいんだ。今の消化しきれない気持ちのままじゃ、とてもにこやかに会える気がしない。 「ん? あんた、嫌なの?」 「嫌ってわけじゃないけど」  やっぱりお袋だ。俺の表情に勘づいた。  嫌、っていう表現は少々強過ぎる。そこまでじゃないけど、納得できてないことには違いない。 「すごく感じのいい子だから、会えばわかるわ」 「まあ…そのうち」  祝いの品か祝儀は、送ればいい。直接会う勇気は、すぐには出ない。いずれ会う時は来るんだろうけど。  お袋は肩を竦めて、お茶に口をつける。
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