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仕事を終えて自宅に帰ると、リビングに大きなダンボールが置いてあった。
「お? まだ何か買ったっけ?」
出産の為に必要な買い物は粗方済ませたし、大きな物は届いている。それらの設置はちゃんと済ませて、準備は万端のはずだ。
「タカくん、それ開けてみといて。ベビーシートだよ」
亜由がキッチンからそう答える。
ベビーシートがまだだったか。これは、親父に頼んだ物だ。祝いに何が欲しいか、をお袋経由で聞かれたから、亜由と相談してベビーシートにした。出産祝いだけど、これは退院の時に必要だから、事前に届いてくれたのは助かる。
ダンボール箱に貼り付けてある配送伝票を確認すると、間違いなく親父の名前が書かれている。
でも、これは親父の字じゃない。丁寧に書かれているその筆跡に見覚えはない。
ああ、しおんさんがこれを書いたんだ。
少しモヤモヤする。それを抑えながら、ダンボールを開いてパッキンを外し、本体を引き上げる。
ネットでいくつか候補を見繕ってリクエストしたからあれこれ見ていたけど、実際に目にすると、思っていたより大きい。
「これ、一番欲しかったのよね。嬉しいなぁ」
亜由がこっちへ来て、ご機嫌で眺め回してる。
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