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頭が痛い
これは偏頭痛だ
高校に入学してから一年と二ヶ月
最近偏頭痛とやらに月三回以上悩まされている
目がチカチカして、その後に激しい頭痛
最初は戸惑ったけど何回もなるうちに慣れてきてしまった
チカチカが終わって、頭痛になる前に頭痛薬飲んで数時間寝たら偏頭痛が治っていることをこの頃発見したのだ
次は嫌いな英語だったし、丁度いいや、このまま昼まで保健室で寝よ
そう思いながら保健室の扉を開けた
「ちょっと、こら…」
えっ
扉を開けたまさにその瞬間
少女漫画のようなタイミングで人のキスシーンを目の当たりにした
ああ…
保健室の先生にキスしている男の子と不覚にも目があってしまった
私は慌てて、何事もなかったかのように扉を閉めた
っ…！
教室に戻りながら私はさっきの映像を思い返していた
いや…
気まずすぎるだろ…何あれ…ヤバっ
ニヤニヤが止まらない下衆な私
保健室の先生は私に多分気付いてたんだろうな…
タイミング悪く行ってすみません…
男の子は…
金髪に近い茶色い髪の毛に、ピアスが結構な数あいてた
射貫くような、切れ長の瞳
紺色のブレザーにスラックス、赤いネクタイ
私立の学校にありがちな、目立つ配色
不良だな
あー、最悪
色々…
私は仕方なく頭痛を我慢しながら嫌いな英語の授業を受けた
それから数日後、通学途中でまた偏頭痛が襲ってきた
曇天で低気圧だからか、偏頭痛になりやすい天候だった
…はあ、まただ
私は学校に着くと保健室に直行した
扉に手を掛けた時こないだの映像がリフレインして一瞬躊躇ったが、思い切って開けた
何より頭痛が我慢できない
朝の八時少し過ぎ
保健室には誰も人がいないけど保健室の電気は着いているから出勤はしているんだろう
私は紙に名前と症状を走り書きして、先生がいつも出してくれる薬箱の棚から頭痛薬を勝手に取り出して飲んだ
これで数時間寝て起きたら治ってる
保健室のベッドに寝転がり目をつむった
何時間経ったろうか
ふと目が覚め、ふらふらする頭と身体を起こしてカーテンを開けた
そろそろ授業受けなきゃな
「あ」
カーテンを開けた先には、こないだ保健室の先生にキスしていた男の子が先生の椅子に座り足を組んで携帯をいじっていた
スラリとモデルの様に長い、でも骨太の脚
紺色のスラックスに白いシャツ
ストレートの髪は無造作なセットなのに、何故かそれがさまになっていて…
そんな男の子は、私と目が合うと前から友達だったみたいな口ぶりで話してきた
「こないだ振り」
制服は襟元を開き、着崩している
だらしない
私は少し睨みつけるように彼を見て部屋を出ようとした
「こないだのこと、秘密ね」
「っえ？」
私は思わず動揺して振り返った
薄く笑う男
「夏見先生と俺が、付き合ってんの」
ペンを回す指
「俺と、三ノ輪橋秋の秘密だよ」
そういうと男はニヤリと笑った
さっき走り書きした紙、三ノ輪橋秋（みのわばしあき）、って私の名前を見たのだろう
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