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色々パニクり、頭が着いて来なくなった つかこいつなんなんだ?誰だよ 何?君は女子高のうちの保健室の先生と付き合ってる他校の生徒で、保健室に遊びに来てる感じ? なんだ、すごい単純でわかりやすかったわ なんもパニクり要素ないし それを私とあんただけの二人の秘密にしろって話ね つか話すような知り合いいないし、付き合ってたからってなんだって話だし、ほぼ私に関係ないし、秘密って言われても? 興味ないし 「ご自由にどうぞ」 私は吐き捨てると保健室を出た 好き勝手してなよ 私には関係ないし、巻き込まないようにしてくれたらいいからさ 帰り道、駅を降りたら見たことある制服の集団がいた あ、あの制服…保健室の男の制服じゃん 「あの制服って何校?」 一緒に帰っていた友達に聞いた 「は?秋知らないの? あれ隣町の私立の進学校の制服だよ! しかもあの制服、特進の人だ、かなり頭いいよ 本校と制服のデザイン違うから見るとすぐわかる 毎年国立や難関私大とか輩出してるよね」 マジ…? ウソでしょ?だってあの男、髪染めてピアスあけまくってかなり制服着崩してたけど!? みるからに不良じゃん! 進学校で、国立や難関私大を輩出してる高校なんて信じらんないんだけど!? あの男絶対底辺高校だよ! 私は真相が気になり、翌日にでもあの男に聞こうと決意した どうせまた保健室にくるはず 仮にそこの高校だったとして、進学校なのに、あんな毎回サボりにきてるなんて、よっぽど頭いいか、寧ろ逆に劣等生かも 色々考えながら保健室の扉を開けた 「あ」 そこには保健室の先生がいた あの男の姿はない 「あ、三ノ輪橋さん、どうしたの?また頭痛かな?」 夏見先生はあのキス事件以来初対面だが、特に弁解するわけでもなく、淡々といつものように薬と水を用意している 私はそんな大人な余裕が少し癪に障り、それを崩したいイタズラ心が湧き出た 「夏見先生、あの男の人誰ですか?」 「あの、男の人?」 夏見先生はとぼけるでもなく、真剣にわからない顔をしていたから私は昨日友達に聞いた高校名を告げた 「私立の進学校のあの男の子です」 「ああ…」 そこで夏見先生は少し戸惑ったような、はにかんだような表情をして答えた 「浩司くん…佐伯浩司(さえきこうじ)くんって言う子 前の学校で保健医してた時の生徒なのよ 私がこっちきてからも、浩司くん、学校サボってくるみたいで」 それは付き合ってるからでしょ 先生の立場のクセに色恋事なんて、やってること高校のガキと一緒じゃん そう思った時、夏見先生の左手に光る指輪が目に入った あ、夏見先生結婚してんじゃん… 「夏見先生結婚してるんですね」 私は思わず思っていたことを口に出してしまった 「そうね…」 それで、生徒とも付き合ってんの? ねえそれ、不倫じゃん 「だから、学校にも来てもらっても困るんだけどね もう私は浩司くんの学校の保健医じゃないし、私がしてあげられることはないから」 え?なにそれ、なにそれ?どーゆーこと!? 付き合ってるんじゃないの? 嘘なの?え?わけわからないわ 「夏見先生、私、彼から夏見先生と付き合ってるって聞きましたよ」 「そう…」 夏見先生はすこしげんなりした様子で目頭を揉んだ 「浩司くんが、他の女の子と会話するなんて というか、浩司くんが自分の話する子珍しいから秋さんには言うけど、私は見ての通り既婚だし、不倫はする気ないから浩司くんと付き合ってるって話は違うってわかるわよね 私は一番夫が大切だし、それ以上に目が行く人はいない 浩司くんには、ただ幸せになって欲しい、それだけを望んでいるわ」 その言葉は先生が生徒に話すそれで、生徒のことを想う教師になんら変わりなかった なんか、めんどくさいことに巻きこまれてる感じだ もうこの人らに関わるのはやめよう 疲れる 「失礼します」 「あら、頭痛薬は?」 「いや、大丈夫です」 扉を開けて、教室に戻ろうとしたら、丁度昇降口に見たことある人影があった 私は小走りで駆け寄っていた さっき関わらないって決めたのに 背中を軽く突つく 浩司が振り返った 「秋ちゃん」 秋ちゃんだとさ こないだは秋って呼び捨てだったくせに、他人行儀だな けど、そう言った彼はなんか、ほんとになんとなく元気がないように見えたんだ 今日で三回しか会ってないのに、そんな些細な様子も気付いた 「元気ないよ、どうしたの?」 私は自然とフランクな対話になっていた こないだ知り合ったのに、そんなフランクな対応が出来る自分に驚いた
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