X+1回目のループ

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X+1回目のループ

 学ランとセーラー服を着た学生達。男女共に足取り軽やかに高校生活という名の日常へと進んで行く。  同じ毎日の繰り返し。楽し気に話す女子生徒、澄まし顔で答える男子生徒。人の数だけ物語があり、それぞれが進行中のようだ。  その中、特に足取り軽やかな男子生徒が1人。  その表情を表すならばニヤニヤ。何かいい事があったのであろう、そう思わせる彼の顔。  彼の名は(とおる)。  昨夜、自分の身に起こった変化を自然と理解し、そして今日実際にその変化を学校で実践しようとしているのだ。  彼に起こった変化。それは、超能力の発現。  彼は夜中、何気なく目を開けて自身に透視能力が発現した事を自覚した。  普段であれば熟睡したまま朝を迎えるのが常である彼にしては、夜中に起きる事は珍しい。  その後すぐに透視能力を試した結果、かなりの集中力が必要である事が判明。  能力を常時発動させたまま他の動作をする事が出来ないと分かった。  そして今、彼は来るべきチャンスを掴む為に能力を温存している。  その時が来たのは3時間目終了後。
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