あと5分!

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何を謝るんだろう。よく分からない。 ああ、そうか。 (『これ以上付き合えない。ごめん』ってことなんだ………) 「わかった………」 「ハチ……」 乾き始めていた瞳に、またじわりと水滴が集まり始める。 声を上げて泣き出したかったけれど、そんなことしたら南雲が困るだろう。別れたって私たちは同じ会社同じ部署で働く同期なのだ。これからも顔を合わせていかないといけない。 俯いて奥歯をぎゅっと噛み締めて、ごくんと唾を飲み込んでなんとか涙を(こらえ)えた。 「短い間だったけど楽しかったよ」 「ハチ?」 「月曜日からはまた同僚としてよろしく、ね」 「あのな、ハチ―――」 最後の「ね」が震えてしまったのに気付かれただろうか。 南雲が何か言う前に、この場を立ち去ろう、そう思ったのに――― 「人の話は最後まで聞けって。いっつも言ってんだろ―――奈菜」
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