あと5分!

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たかが『5分』って侮ることなかれ。 その5分早く家を出てたら、宅配便に捕まることもなくて、駅までダッシュするはめにもならなかった。 いや、そもそもあと5分早く起きれていたら。もっと言うと、あと5分早く眠っていればーーー デートに着ていく服を選んでいたらあっという間に時間が過ぎて、早く寝なきゃって思ってるのに、翌日が楽しみすぎてなかなか寝付けなかった。 結果、寝坊だ。 本当は分かってる。こんな日に寝坊をしてしまった自分が一番悪い。分かっているのに、心の中だけでも誰かに文句を言わないと気が済まなかった。 (仕方ない……南雲に『遅れます』ってメッセージいれなきゃ) スマホを取り出すために、肩から下げていた籠バッグに手を入れる。 (ん?) ごそごそと中を漁るけど、いつものあの感触に指が触れない。 (ん、んん………?) 今度はちゃんとバッグを開いて目で見てみた。だけど――― 「な、なーーーいっ!」 駅のホームに私の叫びが響き渡った。
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