あと5分!

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スマホがなーーーい!! どうしよう、どうしよう!南雲に連絡が取れない! 背中を伝う冷や汗。さっきとは別の意味でバクバクする心臓。 寄りにもよってスマホを忘れてくるなんて!! そうだ。【今から出るね】ってメッセージを南雲に送ってから靴を履いて、その後宅配便の受領の為の印鑑を取りに行く為に、手に持っていたスマホを置いたんだった。 一旦家に帰ろうか。ううん、そしたら1時間は遅れてしまう。彼氏を1時間も待たせる彼女ってどうなの?それなら10分の遅刻の方がまだマシじゃない? 目まぐるしく繰り広げられた脳内協議会が終わり、私はこのまま次の電車に乗って目的地まで行くことにした。 10分待ってやっと来た電車に乗り込む。 先頭車両の一番前に立って行く先を見守る。 いや、見張ってなくても、運転士さんがちゃんと待ち合わせ駅まで連れて行ってくれる。うん、分かってる。 それを言うなら、そもそもホームの一番前まで歩いていく必要もない。 なんとなく落ち着かなくて、少しでも南雲が待つ駅に近づきたくて、気付いたら端まで歩いていた。電車が来た時に慌てて乗車位置まで戻ったのだ。 少し落ち着こうと、バッグの中からコンパクトミラーを取り出して、前髪を直す。いつもと違う少しだけ手の込んだ髪形も、全力疾走のおかげで台無しだ。 (もう最悪……南雲、怒ってないといいんだけど……) はぁっとため息をつくと、情けなく眉を下げた自分と目が合った。
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