あと5分!

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*** 目的の駅のホームへ電車が着く。ドアの前でスタンバイしていた私は、ドアが開くと同時に飛び出すようにホームに降りて、人の波をぬって改札口を目指した。 駅構内では走れない。他の人にぶつからないように気を付けながら最速で歩行した。 改札を出て少し行くと、大きな時計が見えてくる。 分かりやすい目印のあるそこは待ち合わせに持ってこいで、待ち合わせだと思われる人達で溢れていた。 (南雲、どこ?) きょろきょろと見まわすけれど、その姿が見当たらない。時計が見える範囲をうろうろと歩きながら、待ち合わせていた彼を探す。 (南雲もまだ来てないの?) いや、そんなことない。 南雲はこれまで一度だって約束の時間に遅れたことはない。 仕事の時も、仕事が終わってご飯を食べに行く時も。 ギリギリになることはあるけれど、遅れることは今まで一度もなかった。 軽いように見えるけど、結構根は真面目な同期なのだ。 頭上にある大時計を見上げると、長い針は【3】を指している。 (急な用事でも出来たのかな?) 連絡しようにも手段がない。今頃部屋で鳴っているかもしれないスマホを思う。 (仕方ないよね。ここで待ってたらきっと来るよね……) そう考えて、しばらくその場で待っていることにした。
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