あと5分!

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「なぐもっ!」 勢いよく振り向いた。 けれど、立っていたのは待ち人ではなくて――― 「おねえさん、どうしたの?迷子?」 二人組の若い男の子たち。 「一人?どこに行きたいの?俺たち案内するよ」 親切な言葉とは裏腹に、にやにやと笑っている。 「いえ、あの…大丈夫です……」 「遠慮しないでいいってば。ほら、俺たち困ってるヒト見ると放っておけないタイプだからさ」 「本当にだいじょうぶ…なんです……迷子じゃありません……」 「えー、じゃあなんで泣いてんの?あ?もしかして振られちゃった?」 余計なお世話だ。 そう思うけれど、今の私にはグサリと刺さる言葉だった。 それが態度に出ていたのか、二人組は「おおっ!あたり!」と嬉しそうに顔を見合わせている。 「ち、ちがいま」 「じゃあ、俺たちと遊ぼうぜ。おねえさんみたいに可愛い女の子を振った奴なんか、俺たちがすぐに忘れさせるからさ」 私の言葉なんて聞かずに、そう言った右のヤツ。 「結構です」と断ろうと思ったら、今度は左のヤツが私の腕を掴んだ。 「やっ、」 「いいだろ、どうせ相手は来ないんだし」 触れられたところからゾワゾワとした悪寒が走って、振りほどこうと腕を振ったけれどびくともしない。 震えそうになる足を踏ん張ろうとしたけれど、またしても細いヒールが(あだ)となる。 引きずられるようにして二三歩よろめいたその時――― 「てめぇら―――触んじゃねぇよ」 背後から掛けられた声に、三人一斉に振り向いた。
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