あと5分!

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聞いたことのないどすの効いた低い声。男たちを睨みつける鋭い眼光。 待ち望んでいたハズの彼。それなのに、思わず私まで震えあがりそうになるほど、恐ろしいオーラが漂っていた。 「手ぇ離せよ」 掴まれていた手が離れていく。南雲が左のヤツの腕を掴んだからだ。 「イテテテテテッ―――」 南雲に腕を掴まれた彼は、顔を歪めて叫んだ。 右のヤツが「おい、何すんだよ」と伸ばした手を南雲は反対側の手でサッと払うとひらりとかわし、よろめいたが、腕を掴まれていたはずのとぶつかる。ぶつかり合った彼らは一瞬、何が起こったか分からないという顔をした。 あまりの早業に、私も何が起こったか分からなかった。ただ不快極まりない感触が無くなったこと、南雲が来てくれたことに心底安堵するだけ。 「こいつに気安く(さわ)んじゃねえ」 もう一度低く唸るように南雲が言うと、二人組はチッと舌打ちをして去って行った。
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