出会い

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出会い

ぼくは…… ぼくは産まれてからずっと 淋しかった。 ママはいない。 一緒に産まれた兄弟もいない。 いたんだけど、ぼくだけここにいるんだ。 透明の板の向こうに、たくさんの顔が笑ってくれて、ぼくの前に来てくれると嬉しくて押さえきれなくなってオシッコしちゃうんだ。 ごはんをくれる人がいる。 お部屋をきれいにしてくれる。 ……でも淋しかった。 今日はね、抱っこしてもらえたんだ! ちょっぴり怖かったけど、優しい女の子だったよ。 また会いたいなって思ったの。 もっと一緒にいたかったから。 何日か過ぎて、いろんな人に抱っこしてもらったけど、今日またあの子が会いに来てくれたんだ。 最初は思い出せなくて、やっぱりちょっぴり怖かった。 でも抱っこしてもらった時、あの子の匂いがしたんだ。 ぼくね、すぐに思い出したよ! 今日はぼく、お部屋から出て、狭くてゆらゆらするお部屋に入ったの。 あの子が隣にいてくれる。 あの子の優しい顔が、時々近づいてくるんだ。 ゆらゆらが止まると、お部屋が開いた。 少し外を見てみると、あの子の匂いいっぱいの広いお部屋だった。 出ていいのかな? でもちょっぴり怖いな。 お水が飲みたい。 お腹すいたな…… ん?いい匂いがするよ。 顔を出してみた。 目の前にごはんとお水ががあった。 女の子が優しいお顔で待っててくれた。 女の子が優しいお顔で、 「ころん~」 って言ってる。 その言葉、なんだか嬉しくなる。 ぼくはたまらず、女の子に飛びついちゃった。 そうしたら女の子も喜んでくれたんだ。 女の子の事を呼んでる人がいる。 「あんな~」 「はーい」 あの人は女の子のママだ。 だってずっとあの子のそばにいてくれて、ぼくのママと同じ眼をしているから。 透明の板じゃないけど、また外に出られないところにぼくはいる。 でも、あんなやママが居るときは、広いお部屋に出られるんだ。 寝るときとお留守番はこの中だよ。
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