9 HAPPY END

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「……」 愛情溢れる思いを聞いてジーンと感極まる。 直生は、いつでも口にしてくれる人だから、 行き来していた5年の間も帰国してからも、 感謝の気持ちはちゃんと伝えてくれていた。 それで十分だったのに。 「あらあらラブラブね。 周りがとやかく言う必要は全然ないみたい」 と言い、にっこりと二人を見るお義母さん。 ハッと我に返った私は今の言葉に反応して、 一瞬で、顔を熱くする。 世間は、一体どうかとか分からないけれど、 新婚の扱いってこういう感じなのだろうか。 慣れていないこともあってか恥ずかしくて、 温かい紅茶を飲んでこっそり落ち着かせる。 まして、お義母さんのような綺麗な人だと、 羞恥は、必然と倍増だ。 「あんまりからかうようなこと言わないで。 愛也が、困ってるから」 見かねた直生が横からフォローしてくれる。 ここに、もしお義父さんが同席していれば、 こんな時ストッパーになってくれるけれど、 今日は、商談で不在で。 「あら、からかったつもりなんてないわよ。 二人の、仲睦まじい様子を知れて嬉しいの。 恋人の時から直生を支えてくれたでしょう、 本当に良い奥さんだわ」 お義母さんの滑らかな饒舌はすらすら続く。 純粋に、嬉しいけれど。 ありがたく思う以上にいたたまれなくなり、 赤い頬が一層赤くなる。
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