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「……」
愛也にとってはショックにかわりないのに。
なのに、そのことについて責めるどころか、
先回りして話しやすくしてくれた優しさに、
思わず、ジーンとする。
それにしてもなんてタフになったのだろう。
5年の間にそんな心構えを備えていたとは。
「指輪も結婚式もできないことがあっても、
いいの。
それでも直生がいいの」
愛也が生き生きとした表情で言葉を続ける。
「私は、こうして一緒に指輪を選べること、
すごく、嬉しいですよ。
それが、ショップなのかカタログなのかは、
重要じゃないというか。
できることを楽しめたらいいと思うんです」
そこに、強がりはない。
本心からそう言ってくれたのだと伝わって、
ますます感動を覚える。
「ああ、……ありがと」
と言い、さらさらの髪が流れる頭を撫でた。
感謝だ。
こんな、温かい気持ちで指輪を選べるのは、
本人の寛大のおかげだ。
「指輪、内側に二人のイニシャル入れる?」
「あっ、入れたいです」
「じゃあ注文する時にそうオーダーしよう」
「はい」
この笑顔を守れるようにベストを尽くそう。
カタログのページをめくりながらあらためて
思った。
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