8 至福の贈り物

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この後、二人でじっくりと指輪を吟味した。 たくさんある中からふと目に留まったのは、 商品名に『クラシック』という文字が並ぶ、 プラチナのペアリング。 パッと見はごくシンプルなストレートだが、 指輪の縁をぐるりと囲むようにエッジが効い ていて、そのさりげなさも決め手となった。 ちなみに内側に刻印をするなら幅が要る為、 3ミリの指輪を選んだ。 太くもなく細くもなく。 それでいて婚約指輪とも重ねづけしやすい、 ちょうどいい幅だった。 イニシャルの文字入れは3週間程度らしい。 1ヵ月しない内に記念の品が届くと思うと、 なんだか嬉しくなった。 8日後。 12時。 「親子水入らずでランチなんて久しぶりね。 元気そうで良かったわ」 この日は母親と都内の和食の個室でランチ。 近況を伺うメールが来たのは先月の半ば頃。 今日は、取材と取材の間が2時間半あって、 そこで、久々に会うことになったのだった。 多忙な父親は前回に引き続きいなかったが、 母親から元気にしていると聞いて安心した。
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