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『ついさっき二人の婚姻届が受理されたわ』
『結婚、おめでとう!』
『本当におめでとう!』
丸いテーブルの上に置かれた直生の携帯に。
代理人として市役所に行った大嶋さんから、
熱いメッセージとスタンプが送られてくる。
待ち望んだ知らせを二人で見た私と直生は、
ソファから腰を上げた。
実際の結婚式は来秋に挙げることが決まった
けれど、入籍した今日はやっぱり特別な日。
だから。
場所は、教会じゃなくてホワイトデーを過ご
した夜と同じホテルのとある一室に宿泊し、
自分は、ウェディングドレスに見立てた白の
ワンピースを着用して。
直生は、いつにも増して素敵なスーツ姿で、
照明の下で向き合った。
一生に一度のことだから二人で何かしたい。
これは、私と直生だけの模擬結婚式だった。
今夜も窓の外は宝石みたいな夜景が広がり、
キラキラと輝いている。
まるで祝福されているかのような心持ちだ。
「愛也。
病める時も健やかなる時も一緒にいような」
「はい」
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