9 HAPPY END

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ガラスの向こう側の洗面所は視界で上下し、 揺れる。 動く度、ぴったりとくっついた肌が擦れて、 ものすごく気持ちいい。 その上で最も敏感な奥を突き上げられれば、 思考は真っ白になった。 今夜は、自分自身いつになく高ぶっていると 分かる。 理由は、入籍して迎えた初めての夜だからと いうこともあるけれど。 これまで『する』前提で入ったことのない、 あくまでも一時のスキンシップ止まりだった お風呂でこうして行為に至っている状況が、 ひどく燃え上がらせて。 「ふっ、あっ……ああ」 腰から下を支配される。 かろうじて片足立ちの右側の脚のつま先は、 ろくに、力が入らない。 ふいに、静止した直生がもう片方の脚も持ち 上げて、おもむろに浴槽の縁に腰を下ろす。 それは、ベッドの時でもする体勢と同じで。 「ひあ」 両手で、腰を掴まれゆるゆると揺すられる。 こんな、どうすることもできない体勢では、 しがみつくしかなくて。 シャワーの名残なのか汗なのか分からない、 濡れて滑るなめらかな肌に必死に抱きつく。 熱くて。 熱くて。 今にも、眩暈がしそう。
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