9 HAPPY END

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固く漲った熱はスローなペースを崩さずに、 ゆるり、ゆるりと緩い動きで奥を刺激する。 容赦なく穿つような激しさはどこにもない。 あくまでもゆっくりとした行為が維持され、 そうなるとこちらはもどかしさすら覚える。 「んん、あ……、あっ」 場所が、寝室じゃなくバスルームだからか。 吐息も、混ざりあう音も何倍も生々しくて、 聴覚は、侵されていく。 はあっ、と吐き出された息を首筋に浴びる。 耳の凹凸に沿うように舌でなぞり舐められ、 快感を捉えた体はぞわぞわと震え上がった。 この時、私の腰を掴んでいる手の力が増す。 かと思えば右手が汗だくの背中に回されて、 まるで、もっとおいでという風にさらに密着 させる。 言葉で、直接聞くのも嬉しいものだけれど。 行動の一つ一つが『好きだよ』『愛してる』 と告げているみたいで。 「愛也。 やっと、俺だけの……」 直生が肩越しに漏らした呟きは掠れていて。 きゅう、と切なくなる。 こんなにも入籍の日を。 自分を、渇望してくれていたのだと実感し、 すると、言い表せられない感情が押し寄せ、 自然と涙が一粒流れる。
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