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「なお、き……、直生」
無我夢中で名前を呼ぶ。
熱くて、頭はくらくらして声も掠れてきて、
先程から慣れない体勢が続いて少し苦しい。
けれど、今はひとときも離れたくなかった。
やっと正式に結ばれた記念すべき夜だから。
触れ合ってその幸せを分かち合いたかった。
「はあ、……ああ……」
びっしょりかいた汗が肌の上を滑り落ちる。
境目も分からなくなるくらい抱きしめられ、
貪られ、甘美に溺れる。
一度上がった感度は落ちていくことはなく。
「愛也」と熱っぽく二度か三度呼ばれたら、
どうしようもなかった。
達して、悲鳴にも似た声をあげて間もなく、
お腹の奥では温もりがじわりと染み渡って、
例えようのない気持ち良さにぞくぞくする。
体温も、吐息も汗も一つに溶けていく感覚。
背筋を震わせながら存分にそれを味わうと、
私はそっと目を閉じた。
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