9 HAPPY END

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5年間、いろんなことを経験して乗り越え、 めでたく入籍した私達。 けれど、変わった点といえば名字くらいで。 結婚式は来秋だし新生活もまだ先だからか、 それからの日々も変わりなく過ぎていった。 11月。 水曜日。 19時。 季節が進み本格的に肌寒くなってきた中旬。 仕事を終えた私は直生のマンションを訪れ、 キッチンで夕食の準備にとりかかっていた。 「あっ、昨日見ました。 ニュースのエンタメコーナーで報道してて」 「ああ、結婚したこと? マスコミには事務所を通して知らせたから。 いつも思うけど早いな」 職業柄、自分の情報がメディアで報じられる ことは日常茶飯事で慣れているからだろう。 直生は、いたって平然とした様子で口にし、 サラダに使うレタスをちぎってお皿へ盛る。 エプロン姿の私は隣で玉ねぎを炒めていて。 今夜のメニューはしょうが焼きとごま和え、 サラダ、豆腐とわかめと卵の中華風スープ。 ちなみにしょうが焼きはリクエストだった。 「俺は、首を長くして公表を待ってたから、 やっとかって感じだな」
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