9 HAPPY END

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12月。 金曜日。 15時。 今年も残すところいよいよ3週間となった、 この日。 「ふふ、愛也ちゃんの好きなチョコレートプ リン用意しておいたの。 どうぞ」 カチャ。 小ぶりなグラスに収まったプリンは2層で、 花柄の白いお皿に載せられ手前に置かれる。 プリンで有名なショップの限定商品らしい。 「はい。 ありがとうございます」 テーブルを挟んで反対側に座っている私は、 笑顔で、お礼を述べた。 いつも、お邪魔する度にお菓子を用意して、 にこやかに歓迎してくれるお義母さんには、 良くしてもらっていて。 今日も、二人で直生のご実家へ車で向かい、 1階にあるリビングで紅茶をごちそうになっ ていた。 室内は、相変わらずモデルルームみたいで、 何度訪れても緊張する。 「結婚したことを正式に公表したことだし、 今度は、いよいよ二人で暮らす新居探しね。 いつからとか決めた?」 キャメルのニット姿のお義母さんがこちらを 交互に見て尋ねてくる。 この3人で話す時は先に直生が答えるので、 黙って、待っていると。 「うん。 冬の間に決めて春から暮らしたいかなって」 直生は、ティーカップをソーサーに置いて、 ほがらかに受け答えた。
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