9 HAPPY END

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それは、入籍後に二人で決めたことだった。 できるだけ早く暮らしたいというのは共通の 思いで。 まるで、そんな私達を後押しするみたいに、 直生は、1月と2月はタイミング良くスケジ ュールが比較的落ち着いていて休みが多く、 じゃあ、一緒に新居を見に行ける!となり、 トントン拍子に進んだ。 お義母さんの弟さんが不動産会社の社長で、 サポートしてくれるという話は聞いていて。 今日は、お義母さんに仲介をお願いする為、 出向いた意味もあった。 「それで物件紹介を叔父さんに頼みたくて。 話してもらえるかな?」 「ええ。 今日明日にでも雅之に電話を入れておくわ。 直生の連絡先は私から伝えていいかしら?」 「うん。 仕事中で出れなかったら留守電にメッセージ 残してくれたら大丈夫。 こっちから折り返すし」 お義母さんが「分かったわ」と笑顔で頷く。 笑うと、どことなく直生に似ているのはやっ ぱり親子だからだろう。 「我が道を往くあなたを5年待ってくれたん だから、結婚式と新居は愛也ちゃんの好きな ように、それはわがまま聞いてあげるのよ? こういうの大事だから」 ふふふ、とほほえみながらも言葉は真摯で。 私のことを汲み取ってくれた発言に感激して いたら、直生は穏やかな表情でこう言った。 「俺もそのつもりだよ」 そして、こちらを一瞥してから話を続ける。 「この展開で本人に言う予定じゃなかったん だけど。 今まで、めちゃくちゃ支えてもらったから、 結婚式も新居も感謝の気持ちを伝えたくて。 愛也の希望はできる限り叶えてあげたいと思 ってる」
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