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早くも、夫の立場から気遣ってくれる直生。
自身も、息子としてお義母さんと私の仲介を
努めて、場の雰囲気まで作ってくれたから、
疲れているはずなのに。
「私なら大丈夫ですよ。
美味しいプリンと紅茶をごちそうになって、
お義母さんとスイーツのお話できて楽しかっ
たです」
笑顔を浮かべながらにこやかに受け答える。
全く疲れてないかと言えば嘘になるけれど、
楽しいひとときを過ごせたのは本当のこと。
なによりこれ以上の心配はかけたくなくて。
「直生こそ息子と夫の役割に徹してくれて。
今日は疲れたでしょう。
ありがとうございます」
自分なりに労いのつもりで口にしたその時、
車線を走っていた車は信号待ちで止まって、
直生が、こちらを向く。
「大事な奥さんだから。
そのくらいしないとな」
そして、おもむろに指の甲で私の頬を撫で、
穏やかな表情を見せた。
「あと、お礼を言うのはこっちのほうだよ。
両親にも歩み寄って上手くやってくれて感謝
してる」
思わず、きゅんとくるような嬉しい言葉で、
温かく、労ってくれる。
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