9 HAPPY END

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美味しそうに食べる姿をほほえましく見て、 自分も、スープを飲む。 帰国後、定期的に会えるようになった今は、 こういう二人の時間がなによりも満たされ、 大切だ。 「新居探し楽しみだな。 叔父さんが候補に送ってくれた部屋の図面、 どれも、間取りも広さもいい感じだったし」 「はい」 今後の話題になると自然と笑顔がこぼれる。 新居は、話し合って当面の間は賃貸に住み、 追々分譲マンションを購入することにした。 直生は『貯金もあるしこの額までなら自分が 一括で払うよ』と言ってくれたのだけれど、 一緒に住むからそういうわけにいかないと、 早々に、辞退したのだ。 収入の規模が比べ物にならないことは分かっ ている。 だからといって丸々負担してもらうなんて、 それは、違う気がして。 『別に、そんなこと気にしなくていいのに。 真面目な愛也らしいな』 理解してくれた直生には待ってもらう形で、 私は20代で目標額を達成することに励み、 そして、二人が30歳を迎える前に買おう、 というプランになった。 「あー、ハヤシライスもスープも美味しい」 「おかわりありますよ」 「うん。 これ食べたらもらうね」 頷くと、綺麗にぱくぱくと食べ進める直生。 そこそこの量にも関わらずハヤシライスも、 ハンバーグもみるみる内に無くなっていく。 ケーキ食べられるかな? そう思っていたけれど。 お互い、やっぱりスイーツは別腹らしくて、 半分にシェアして美味しく食したのだった。
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