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弟は私が思っていたよりも本当に優秀だった。
中学生になってからはもっと優秀になって、弟の活躍もあって、無名だった地元のチームは全国大会にまで出場した。
だから高校も当然スポーツ推薦で入学してくれて、学費は一切免除になった。それでも強豪校でスポーツをするというのは、とてもお金がかかることだった。
「佐藤さん、
有田フーズの社長とアポ取れた?」
「また無理でした、すみません。」
「あそこの社長ほんっとに硬いな。」
そして私は、そんな弟を支えていくためにも、22歳で会社をおこした。アメリカのオーガニックの食材を、日本におろすのを中心としている会社だ。
正直自分が社長になるなんて博打以外のなにものでもなかったけど、弟にサッカーを続けてもらうためにも失敗するわけにはいかず、私は寝る間も惜しんでたくさん勉強をして働いた。
おかげで会社は5年たった今、とても安定している。従業員も5人雇うまでには成長して、私たちの生活はずいぶんと安定した。
そんな弟も、今年で高校3年生になった。
高校2年生の頃にはプロのチームから声がかかっていて、来年からはプロとしてデビューすることが決まっている。
弟が生まれた時、私は10歳だった。
年が離れていたからというのもあるけど、初めて見る弟はまつ毛が長くて青色の目をしてて、本物の天使なのかと思った。私が一生守っていくと、10歳にしてそう思ったほどだった。
弟が赤ちゃんの頃から、私は小さなお母さんとしてたくさんお世話をした。まさかその10年後に本当にお母さん代わりになるとは思っていなかったけど、私と違って特技もあって、顔もイケメンで友達も多い弟は、私の不幸な人生の中の唯一の誇りになっている。
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