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 ようやく席を取って顔を上げると、今度は椎奈が少し先を歩く。 「待ち合わせの時間間で少しあるから、カイザの洋服見よう」 「……待ち合わせ?誰か来るのか」 「うん……」 「まあ、ろくでもないやつなのだろう」 「なんでそんなことわかるのよ」 椎奈が口を尖らせる。見たこともないくせに、と。 「貴様がまったく楽しそうではなさそうだからな、何か、緊張感を要する人物なのだろう……そのくらいのこと、アルメイダの人間でなくとも分かるだろう」 「緊張感……す、好きだから緊張しちゃうってこともあるでしょ」 「ならば貴様」 カイザが急に足を止めるので、椎奈はつんのめる。 「うつむくな、顔を上げてまっすぐに前を見ろ」 それだけ言うと、カイザはまた勝手に歩き出す。  ショッピングモールに入った瞬間の冷気に、思わずため息が出る。体がまだ夏の暑さになれてないせいか、息苦しい。 『カイザ君に、なにか、てきとうなものを見繕ってあげなさい』  ママにそう言われて、それなりの予算も預かってきた。
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