鈴の男気

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鈴の男気(すずのおとこぎ)4 d3361a87-6351-4dbe-bf21-81b124642363                        制作:kaze to kumo club  元々、大の人間嫌いだった灰色のボス猫、鈴にとっては、人間社会の習慣やルールなどはまったく持って……知らない事ばかりだった。  自由奔放に生きて来た鈴には、全てが息苦しく、バカげた事ばかりにも思えた。が……懸命に自分の立場や未来を守ろうと努力する光にはかなわなかったのだ。  何かにつけて、こうしろ、ああしろと……ウザい姑のように鈴を縛る……光の言動には……ほとほと嫌気が刺していたが……彼女が毎回、取り出す……マタタビ付きにぼしには……正直、目のない鈴だった。  鈴は思う。やっぱ……人間辞めたい……と……??  そんな気持ちが……厄介な事件を引き起こすとは……誰が……予想できただろうか? 「ああ〜〜、ダリ〜い。加えて……眠い……」  その日は日頃、学校に通っている光が熱を出し、心の中で寝込んしまった。 そのために、夜担当の鈴がやもなく、代わりに学校へ登校するハメになったのである。  もちろん、普段は昼型の人間、光が日常をつたなく過ごし、夜行性の鈴が家の中でゴロ寝する事で、両親や友達などに……バランスよく……一人と一匹の多難な事態を……隠す事に成功していた。  故に、鈴は気が乗らなかった。単身で学校と言う修羅場へ出向くのは……。 「何で……あたいが……学校なんぞに行かなきゃならんの? バカな話だ!」と毒つく。  けれど、風邪を引いた光の心が重く、気だるく、そんな鈴を内から攻める。 ーーだから、お願いよ、鈴! 今日は大切な試験日なの。よろしくね!ーー 「そんな事、言ってもよう〜。 あたいには無理だよ! テストなんて〜さあ〜?!」 ーーできるわよ。元は私の身体だもの。大丈夫! 成せば成る……って!ーー  手を合わせながら……ゴホゴホと……咳き込む光の顔が脳裏に浮かぶ。 「勝手に言ってろ! あたいは……知らねえよ! フン!?」  可愛い女子校生が、次々に群がる西南女子の正門は……今日も華やかに見える。そんな学校へ伸びる長〜い坂道を登る人間型鈴と、風邪引きの光が言い争いつつも、登校して行く。    夏も近い……麗らかなる日々。だが、猫と娘は……知らなかった。  これから起こるであろう……最初の悲劇へのプロローグを……?? 4p
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