透明なあなた

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「…ずいぶんと真面目なんですね。」 「…そうではないです。 あなたみたいに綺麗で華やかな人には縁のない話でしょうけど…透明な私はそのまま忘れられてしまうことが多いんですよ。」 「…ああ…」 「…でももっと悲しいのは、さよならも言えないまま 別の人に連れ去られてしまうことですかね…。 まあ、そうなっても私の代わりなどいくらでもいます けど…。」 「…すみません。あなたの事情を知りもせず愚痴など話してしまって…。」 「いえいいんです。忙しいのは、毎日必要とされるくらいあなたが愛されてるということです。 …正直、ちょっと羨ましくなっちゃいます。」 その人は優しく微笑んだ。 (自分はそんな風には愛されない) そう思っている寂しさを含んだような笑顔で…
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